方法
人は,敵に騙され味方に欺かれれば,口惜しくてたまらない。そのくせ,しばしば自分自身に騙され欺かれて悦に入っている。(ラ・ロシュフコー「箴言集」)
美しい言葉,巧みな表現。
それは,異なった環境で生き,異なった価値観を持つであろう他人に対して伝えるべきことを伝えるための,ひとつの手段である。
他人との関係において,求められる円滑さを保つための,ひとつの手段である。
すなわち,他人との関係の中で,目的に応じ,必要な範囲において使われるべき方法である。
いわば,社会的な方法である。
したがって,自分自身に対しては,基本的に必要のない方法のはずである。
自分自身に対しては,率直な言葉で語りかけるべきだ。
賛辞であっても,苦言であっても。
自分に対する,自分を自分に酔わせるような言葉,あるいは自分を不当に貶めるような言葉は,誤った自己認識を招き,やがて自らを追いつめる。
自分に対する率直な言葉は,自らに適度な自信を与え,あるいは自省の念を起こさせ,適切な自己認識をもたらす契機となる。